NHK 学校のみらい

NHK 学校のみらい

2024年1月27日放送

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「子どもと学びをつなげる専門家が「エデュケーター」とよばれるスペシャリスト。子どもの発達や心理、障害などに関する専門の知識が求められる国家資格です。フランス国内で、6万人以上が活躍しています。

「子どもを絶対に一人にはさせない。」
エデュケーターが寄り添うことで、安心した子どもたちは、また学びに向かっていくといいます。」

エデュケーターたちのことば

子どもが学校に行かない理由はさまざまです。家庭環境、社会環境、学校での経験、学校でその子どもが難しいと感じていることに十分おとなたちが取り組まなかったこと。子どもが難しさに直面しているときに、おとなたちが対応しないでいると子どもは学校に行かなくなります。子どものせいにも、親のせいにもしてはいけません。そのとき子どもを取り巻くシステムが十分子どもを支えられなかったということです。誰かのせいにする、出来事のせいにする、というのは安易すぎます。

大事な点は子どもが学校に合わせなければならないのではなく、学校が子たちに合ったものでないといけません。そのためには、子どもたちの感じていることを聞いて方法を合わせていく必要があります。公立校に通えなくなる子どもがいるというのは、社会全体の責任です。皆が気持ちよく暮らす社会をつくりたいのであれば、学校にできることは何かわかるはずです。

毎日「今日はこんな一歩を進めることができたね」と子どもに伝えます。これはすごくよかったね、と。こういうことを君はすることができる、可能性がある、今日できなかったとしてもそれは問題ないよ、明日もう一回やってみようと。目的は、子ども自身が「自分はできるんだ」と認識するようになることです。誰かにできないと言われたことで、それから先もできないということはないと知ること。誰もが可能性がある。自信がついたらできるようになる。

同じテーマを10回でも話し合います。何がうまくいかない原因なのか、話し合う。多くの問題は話し合うことで解決できます。もしかしたらこんな考え方があるかもしれない、こういう発想がなかったかもしれないけどそれも考えてみよう、他の考え方もできるかもしれない、と。時間がかかることですが、ここではその時間をとることができます。

アトリエスコレールは小さな社会です。社会の中で気持ちよく生きるおとなになる準備をする時間をとることができます。社会の中で生きるために必要な道具やルールを全て荷物につめて旅立つことができるようにします。「社会的賢さ」を育て鍛えることで、先々どのような場面に直面しても、乗り越える道具を持っている若者たちとして送り出すのです。

日本で子どもたちに「学校に行かなくてもいいよ」と言うのであれば、そう子どもに伝える前に、学校に行かなかった子どもたちが成功できているのか、どのように成功したのか知ることができるようにするべきでしょう。誰の助けも得ずに成功できたのでしょうか?誰がどのように助けたのでしょう?

アトリエ・スコレールの時間割

15人を小さいグループに分ける授業が多いです。内容は子どもの希望に合わせて毎学期少しずつ変わったりします。

アートや演劇や乗馬は外部のプロの方に授業してもらい、エデュケーターたちも一緒に参加します。情熱を受け継いでルーブル美術館の学芸員になって子どもたちを迎えるポストについた卒業生もいました。

プログラミングが好きな子どもはプログラミングの会社に毎週1日通わせてもらい夢を育て自分に足りない部分を自覚する時間を過ごしていました。その職業に情熱を燃やすプロにたくさん登場してもらうことが子どもたちが将来が楽しみになる一因だろうと思いました。

フランスは学習指導要領に沿った通信教育が整備されているので、それを使って遅れを取り戻し、学年の進度に追いついて安心して学校に戻れるようにします。