ターラちゃんの漫画は社会的ニュース週刊誌に連載されている

ターラちゃんの漫画は社会的ニュース週刊誌に連載されている

ターラちゃんの漫画がフランスのソーシャルワーカーたちに知られている理由、それは社会的ニュース週刊誌ASH (actualités sociales hebdomadaires)に掲載されているからです。ASHは福祉事務所、児童相談所、施設、学校のソーシャルワーカー室などソーシャルワーカーがいるところの待合室や休憩室には必ず山積みにされていて、約束前に通されるソファには必ず置いてあるので一般の人でも何気なく手にとる機会のある雑誌です。福祉や社会問題全般を扱っています。私が日本のひきこもりや過労死などについて度々話題を振られるのもこの雑誌が扱ってきているからです。

1955年創刊、約20人のジャーナリストが編集部にいるそうです。年間購読160euro(約2万円)、年間購読契約数は35万件。

パボさんが描いているこの表紙の週は「親戚宅措置という選択」「知的障害、親であることの実践は監視下で」といったテーマを扱っています。最後のページがターラちゃんの漫画1ページです。この週はターラちゃんがお母さんに「いつから幻覚が見えるの?」「鳩と話せるようになったのはいつから?」「幻覚と想像はどう違うんだろう?想像上のお友達がいるかんじ?」と聞いています。

私がフランスで好きなところは、ソーシャルワーカー同士の団結です。13種類もソーシャルな資格があり、分野は医療から子ども高齢障害さまざまです。でも、このASHをみんな毎週読んでいる。職場に食べ物を買ってきてみんなで大きなテーブルを囲んで昼食をとる職場が多いのですが、週のASHの記事が話題になることはよくあります。職員会議の最初にケースに関連ある記事を取り上げ話し合うこともあります。

自分の直接関わりが薄い分野も含め社会問題は自分たちの戦場の状況を伝えるようなもの、社会問題と福祉全体の状況を常に見渡しながら日々の戦いに挑んでいます。ソーシャルワークの目的は社会問題を解決することだからです。

私が特に関心があるのは全ての子どもが幸せに育つための制度整備ですが、現場を知っている人々が力を合わせ、手をつないで大きな動きをつくっていく、社会を良くしていこうという気持ちを世の中に広げていくことをASHのように実現したい気持ちがあります。